2019年7月中旬に聴いていた曲
「茜色ダイアリー 紹介曲」プレイリスト、Spotify版も作成しました。
紹介曲が全部入っているわけではないですが、良ければ覗いてみてください。
おねえちゃんデスコ - 市原仁奈(CV:久野美咲)
作詞・作曲・編曲:ササキトモコ
『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 30 ガールズ・イン・ザ・フロンティア』より。
作詞、作編曲を担当しているササキトモコが、市原仁奈という女の子をあまりにも上手く解釈しており、市原仁奈のソロ2曲目として申し分ない出来になっている。
お子さまとおねえちゃんの狭間にあって、
子供扱いするとふくれるくせに、
おねえちゃん扱いすると寂しそうに甘えてくる。
その辺りのゆらぎを、うまく歌詞に
おとせたのではないかな?と思います。
引用「ごらトモ おねえちゃんデスコ」
ササキトモコ本人もこう述べるように、お子さまとおねえちゃんの狭間にある9才の女の子像を上手く表現した歌詞が魅力だろう。
たとえば「おもちゃのとりあい ノンノンノン」や「お子さまランチは もう食べられない」といった歌詞は、おねえちゃんらしく振る舞おうという意識の現れだろう。ただ、おもちゃの取り合いは良くないと注意をすることや、お子さまランチは食べないという宣言をすること自体がなんとも子供らしく、9才の女の子像がよく現れている。
楽曲のワンポイントになっているのが、以下のDメロだろう。
ダンスフロアに ゆらゆら カゲがなんかお化けみたい
今だけ ちょっとだけ おててつないでいいですか?
不安が消えるまで
今までのディスコ調が「おねえちゃん」モードであったとするなら、Dメロは「9才の女の子」モードとでも言うべきだろうか。音楽的にはブレイクにあたるであろうDメロが女の子感の確立に一役買っている。特に3つ目のコード A#m7 のアプローチがとてもいい。
チュラタ チュラハ - イヤホンズ
作詞・作曲・編曲:月蝕會議
(Spotify)
イヤホンズ 6thシングル『チュラタ チュラハ』より。
作詞、作編曲を担当している月蝕會議(げっしょくかいぎ)は「全員が作詞・作曲・編曲家であり百戦錬磨のアーティストでもある、前代未聞のバンド形態の音楽ギルド」(月蝕會議 official websiteより引用)らしく、最近ではヒプノシスマイクの「俺が一郎」やももいろクローバーZの「トリック・オア・ドリーム」などの作詞・作編曲を努めていたらしい。(初めて知った)
月蝕會議に所属するエンドウ. 氏は、「チュラタ チュラハ」について以下のように述べている。
この曲は「スペースアテンダントアオイ」の主題歌になることが決まっていたんですね。なので作品のイメージを監督にお聞きしたところ、ちょっとレトロな宇宙モノで、バトルもあり、なおかつお仕事モノであると。じゃあどんなのがいいだろうと思ったときに、最初に渋谷系のサウンドが頭に浮かんだんですよ。例えばカヒミ・カリィさんみたいな。(中略)
イヤホンズは「声優ならではのことをやりたい」といっつも言ってるので「じゃあ今回はささやき声とか吐息にフォーカスしてみる?」「ASMRってあるよね? 脳がゾワゾワするってやつ。それで両耳から攻めてもらう?」みたいな感じで。そうすることで声優としての魅力もかなり発揮できるんじゃないかって。
引用「イヤホンズ「チュラタ チュラハ」インタビュー|バラバラだからこそ寄り添えた3人、活動5年目に向ける思い - 音楽ナタリー 特集・インタビュー」
この「渋谷系×ASMR」という手法、もっといえば、渋谷系楽曲にいい意味で声優らしい声質のVoを乗せる手法は、6年前(!)の「claire - 花澤香菜」あたりから既に使われている手法でこそある。
しかしながら、この手法は渋谷系(PIZZICATO FIVE、FLIPPER'S GUITAR)というよりはポスト渋谷系(Cymbals、ROUND TABLE...etc)の方で行われてきたイメージがあったので、個人的にはなかなかに意外だった。
余談だが、この文の筆者、「Silent Star - サイレンススズカ」や「君と夜のアンチノミー - ミシャラ」など、いろいろなところで高野麻里佳の名を見ては「この人の歌、好きだなぁ」という感情を抱いていたにもかかわらず、この記事を書くまで、既にデビューから4年が経つイヤホンズに彼女が所属しているのを知らなかったらしい。なんで?
FUSION - Snail's House
作曲・編曲:Snail's House
(Spotify)
『エイリアン☆ポップ III』より。
Snail's houseはなんだかんだ「Nyan Nyan Angel!」の頃(2015年)から追い続けているアーティストなのだが、コンスタントに "This is Snail's House" とでも言うべきトラックをリリースし続けているのは恐ろしいことだと思う。
さて、先ほど述べた"This is Snail's House" とでも言うべきトラックは大きく分けて2種類ある。1つ目が速めのBPMに音をいくつも重ね、駆け抜けていくようなトラックで、今回取り上げた「FUSION」や「Candy Dash」などがそれにあたる。2つ目がゆったりとしたBPMに、あえて隙間ができるように音を置いたトラックで、「ラ・ム・ネ」や「Hot Milk」などがそれにあたる。
僕は1つ目にあたるトラックの方が好きだが、彼の個人的なリリースはどちらかといえば2つ目にあたるトラックの方が多い。どちらにしろ、非常に個性的ではあると思うが。
Zozoi - SOLEIL
作詞:Robert Gall 作曲:Nelson Angelo 編曲:岡田ユミ 、 SOLEIL
(Spotify)
SOLEIL 3rdアルバム『LOLLIPOP SIXTEEN』より。
このトラックは「ZoZoi - France Gall」(1970年)のカバー。なのだが、SOLEIL(それいゆ)がこれをやっているのには若干の驚きがある。というのも、SOLEILは20日に16歳の誕生日を迎えたばかりだという。
僕は今年で22歳になるが、このアルバムの軸になっている「60年代ブリティッシュロック」、アーティストでいえばThe BeatlesやThe Whoの世界観を僕は知らないし、意識して通ってきたこともない。これはおそらく大抵の同年代にとって共通の認識だろう。
そういった認識がある中で、僕より6つ下でありながら、その世界観を巧みに表現してみせる彼女の技量に驚かされる。
今回、印象に残ったので「Zozoi」を取り上げたが、アルバム全体として2019年のリリースとは思えないような懐かしさと、21世紀を生きる16歳の少女観の融合を感じさせ、一聴の価値がある。
麒麟 - sasakure.UK
作曲・編曲:sasakure.UK
(Spotify)
sasakure.UK 自主制作8thアルバム『ロストピリカ』より。maimai でらっくすにも収録あり。
彼のBMS時代、その中でも特にBOF2008の「AVALON」を思い出させるインスト・トラック。音ゲーを意識したスクラッチが印象的。また、一度静寂に包まれた後に流れ始めるピアノの旋律(2:18-)の開放感がいい。
実は、CHUNITHMに収録されている「神威 - TJ.hangneil」を取り上げようと思った――聴いてもらえば、その意味は分かる――ものの、曲の背景がなかなかにグレーだったり、「TJ.hangneilって何者なんだ!?」という話題の触れ方に困ったりで、結局やめてしまったという裏事情がある。
おわりだよ~
「茜色ダイアリー 紹介曲」プレイリスト、Apple Music版も置いておきます。