先週末は、〈物語〉シリーズ未履修(原作未読、アニメ未視聴)にもかかわらず、〈物語〉フェスに参戦してみたり、アニメしか見ていないのにsideM 4thDay2に参戦してみたりしましたが、どちらも予想以上に楽しめてよかったです。(日記)
Dear Heroes - Serani Poji
作詞・作曲:ササキトモコ 編曲:幡谷尚史, ササキトモコ, 蓑部雄崇
Serani Poji(セラニポージ) 4thアルバム『MERRY GO ROUND JAILHOUSE』より。
当方アイマスPであり、音ゲーマーでもあるので、「秘密のトワレ」や「恋とキングコング」などでササキトモコの名前はもちろん知っているし、彼女が関わった楽曲はある程度追いかけるようにしているのだが、恥ずかしながら彼女の代表的な活動の一つといえるセラニポージには今までまるで触れてこなかった。
架空の女の子の名前をアーティスト名にしたSerani Poji(セラニポージ)は、セガの人生介入型シミュレーションゲーム "ROOMMANIA#203" からのバーチャル アーティストとしてデビューした。
その実態は、当時、セガのゲームサウンドクリエイターだったササキトモコ率いるガールズポップユニットだった。
僕がセラニポージに触れてこなかった理由をあえて挙げるならば、それはセラニポージを生んだ "ROOMMANIA#203" が2000年1月27日の発売であったから、つまりは僕がまだ3歳にもなっていなかったからだ。
90年代後半から00年代前半のミュージックシーンの王道をひた走ったアーティストならともかく、そうでもないアーティストに関しては自ずから出会おうとしなければいなかったのと同じことになってしまうのだと感じさせる。
さて、僕は4thアルバムしか聴けておらず、これだけでセラニポージの作風を判断するのは早計だが、ひとつ言えるのはセラニポージは決して音楽的に一辺倒ではないということだろう。
ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターといった渋谷系アーティスト、あるいは初期のCAPSULE*1や、Plus-Tech Squeeze Boxといったポスト渋谷系(ネオ渋谷系)アーティストの作風、それとゲームミュージック――その中でも特にチップチューンの8bit的なノリ――の作風が上手く融合し、結果として様々な景色を我々に見せてくれている。
今回取り上げた「Dear Heroes」も、レトロRPGのボス戦のような雰囲気を醸しながら、その時代には聞こえてこなかったであろう管や弦の音、そしてササキトモコ本人のボーカルが違和感なく乗っているという絶妙なバランスに仕上がっている。
このバランスは間違いなくセラニポージにしか出来ないものであると思うので、是非一度はセラニポージの曲を聴いてみてもらいたい。
不可思議のカルテ - 桜島麻衣、古賀朋絵、双葉理央、豊浜のどか、梓川かえで、牧之原翔子 & Pictures - fox capture plan
「不可思議のカルテ」:作詞:児玉雨子 作曲・編曲:カワイヒデヒロ(fox capture plan)
「Pictures」:作曲・編曲:fox capture plan
前者は青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ED曲『不可思議のカルテ』、後者はfox capture plan 2nd Album『BRIDGE』より。
作曲を担当しているカワイヒデヒロは、普段は(?)fox capture planというバンドでベースをやっており、アニメへの楽曲提供は異例といえば異例だ。
というより、fox capture planとアニソンというキーワードは、その音楽性だけを捉えるとなかなか結びつきにくいだろうなという感じがする。
“現代版ジャズ・ロック”をコンセプトとした情熱的かつクールで新感覚なピアノ・トリオ・サウンドを目指し、それぞれ違う個性を持つバンドで活動する3人が集まり2011年結成。
引用:https://www.foxcaptureplan.com/biography
これは僕の勝手なイメージではあるが、仮に3人でバンドをやろうということになればギター・ベース・ドラムの構成がスタンダードだろうし、おそらくその中で一番歌が上手いヤツ、もしくはカリスマを持っているヤツがボーカルをすることになるんじゃないかと思う。
しかしfox capture planは、構成はピアノ・ベース(ダブルベースらしい)・ドラムだし、やっているのはインストゥルメンタル。ありきたりな表現をするなら、オシャレなカフェで流れていそうな曲を本気でやる、そういうコンセプトのバンドなのである。
ただ、「不可思議のカルテ」ではその采配がなかなか上手く当たっている。ピアノやベース・ドラムがfox capture planらしく細かく動き回る――特にドラムなんか16ビートでハネている――のに、ボーカルは4分、8分メインという対比がいい。
語れない 眠れない トロイメライ
あなたの見てる正体
4分、8分メインのゆったりとしたメロディが続くおかげで、上で引用したサビの入りが本当によく映えるのもいい。素敵。
この曲は5月4日、5日に秋葉原MOGRAで開催されたANISON MATRIX!! -アニソンマトリクス- 9th Anniversaryにて知ることができた。誰がこれをかけていたのかもう覚えていないが、その人には是非シャンパンでも差し上げたい。
カシューナッツ - 佐藤嘉風 & ミライサーカス - nuance
「カシューナッツ」:作詞・作曲・編曲:佐藤嘉風*2
「ミライサーカス」:作詞・作曲・編曲:佐藤嘉風
前者は佐藤嘉風 9th Album『Kafu Record 2』、後者はnuance 2nd minialbum『mirai circus』より。
彼の名前は「タイムマジックロンリー - nuance」で知った。nuance(ヌュアンス)はどうやら横浜を拠点とした4人組アイドルグループらしい(公式HPにはいわゆる ”Biography" すら載っていないが、流石にグループのコンセプトくらい載せたらいいんじゃないかと思わなくもない)。
ただ、nuanceがそういった情報を表に出さないのは、おそらく楽曲を聴けばどういうコンセプトでやりたいのかはすぐに伝わるからなのだと思う。実際に「タイムマジックロンリー」にしろ、「ミライサーカス」にしろ、電子音を積極的に用いた楽曲構成と表情の薄いボーカルを合わせたアンドロイド的な雰囲気をひしひしと感じることができる。
nuanceの世界観には間違いなく佐藤嘉風氏の影響があるが、シンガーソングライターとしての彼はそれとは似ても似つかない世界観を見せる。
ミライサーカスで「私はミライサーカスのライオンです、人工知能を携えてます」という歌い出しを書いた人間がまさかカシューナッツ賛歌を作っているとは思わないし、曲調も生音のピアノ、ドラム、ベース、ギターをメインにした、THE・シンガーソングライターという構成で、nuanceであれだけ好き勝手やってる人とは思えないのである。
意外な二面性を持っている彼のこれからの活動に期待したい。
おわりだよ~
〈物語〉フェスとsideM 4thDay2に関してはレポ記事を近いうちにあげようと思っているので、お楽しみに。